図々しい商売

ウンコレベルの思いつき商売アイデアを綴るつもりで始めたブログだが、そのウンコが出てこないのだ。当初の認識が甘すぎて行き詰ったり、途中で先行者を発見したり。最近も2つのアイデアが道半ばで没になり、きばり疲れ、途方に暮れてしまったので、気分を変えて自分が好きな類の商売について、ふわっと書くことにした。

僕が人生で初めてすごいと思った商売は、中一の時に出会ったレンタルレコード店(今では何の驚きもないが)である。近所の大学生たちが自前のレコードを持ち寄り、地下鉄あびこ駅前に店を構え、人に貸していた。それまではレコードを買う金などないので、ミックステープをつくるためにラジオとカセットデッキをつないでオンエア曲を録音したり、酷い時は、カセットデッキをテレビに向けて、音楽番組を録音していた。当然、アナウンスや弟が動き回る雑音と曲が重なり、きれいに録音できなかったので「レコードを借りて録音できる」ことに感動した。ただ、それ以上に「自分のレコードを不特定多数の人に貸し出して金をとる」という発想が、なんとも図々しくてかっこよく感じたのだ。

その「図々しい感じ」に憧れすぎて、中二の時には「エロ本レンタル業」に手を染めた。友人の親父がサラ金会社を経営していて、差し押さえた大量のエロ本が手に入ったので、ドスケベ中学生どもに貸し出すことにした。元手ゼロでの金儲け。図々しさに胸が躍った。

当時、エロ本は超貴重品だった。本屋では前を通り過ぎながら、表紙を脳内に焼き付けるのが精一杯だった。エロ本自販機はあったが、買える金などないし、やっと貯めたお金を投入したがブツが出てこず、自販機を蹴飛ばし、やり場のない怒りに眠れぬ夜もあった。

近所の大和川河川敷に行けば、何冊かは落ちていたのだが、大抵は濡れていて状態がよくなく、その水滴が雨なのかアレなのかは判別がつかなかった。

その点、差し押さえエロ本は保存状態がよく、不吉と言えば不吉なのだが、そのページに広がる夢のように淫らな世界を見れば一瞬にしてそんなことを忘れ去ることができる。

商売としては勝算があったが、校内のいちびり野郎にだけはばれないように細心の注意を払い、各クラスの口の堅そうなドスケベ生徒をリストアップして個別に営業した。みんながみんな歓喜してくれたし、これ以上に人をハッピーにする商売などこの世にないだろう、という感じだった。

適当に週刊ランキングをでっちあげてTOP10を3割増しで貸すとか、人気のない本をサービスで安く付け加えてセットで貸し出すとか、似非マーケティング的なこともやってみた。前者は相当儲かった記憶がある。一番人気は確か、「極楽坊主」だったか。なんせ「坊主もの」だった。

毎週木曜日はクラブ活動終了後に株主総会と称して集まり、売上でジュースやお菓子を買い込んで多少の贅沢もしたし、忘年会と称して日活ロマンポルノも見に行った。「背徳夫人の何とか」だったか…タイトルは思い出せないが。

しかし、最後はホームルームで暴露される辱めを受けてジ・エンド。栄枯盛衰である。最終的に全責任をエロ本所有者に擦り付けるという極悪非道なことをしたせいで、売上金を持ち逃げされる結末となった。まぁ、控えめに言っても黒歴史であるが、「血液クレンジング最高」とSNSで叫ぶよりマシか。

次に僕を刺激した図々しい商売は高校生時代の友人のオモシロ母さんから聞いた話。

その友人は通天閣から徒歩1分の所に住んでいて、一階でお母さんが喫茶店を経営していた。その喫茶店でよくご馳走になっていたのだが、「新世界では十円玉を磨いて二十円で売るおっさんがいる」とか「雪のボールをおっさんから十円で買ったことがある」とか都市伝説めいた話をよくしてくれた。

かなりの図々しさである。十円は磨いても十円である。ピカピカであることに気分が高揚し、倍の金額を支払うのか。雪の降らない大阪に雪が降ると、みんな気分が高揚して、雪のボールに金を払うのか。あるいは滑稽すぎて払うのか。

買う人の気分を盛り上げることの大切さを学んだが、これらは嘘か本当か定かでない。

あれから数十年、真っ当なものづくりやテクノロジーより、「図々しい商売」に憧れるようになった自分は、「プロフェッショナル~仕事の流儀」で紹介されるような仕事には一切関わることなく今に至るのだが、このままプログを終えるのも不安なので、twitterや昔書いていたブログから図々しい商売を掘り起こしてまとめてみようと思う。

1.Jesus Shoes

NIKE AirMax97のカスタム版。シューレースに十字架に磔になったイエス・キリストのチャームをつけ、かかと部分にあるプルストラップには、ユダヤ人の王・ナザレのイエスを意味する「INRI」、サイドにはマタイの福音書14章25節を表す「MT. 14:25」を刻印。更に、キリストが洗礼を受けたヨルダン川の聖水60ccがソールに注入されており、“聖水の上を歩く”ことができる神聖なスニーカーなのである。因みに上述のマタイの福音書の14章25節に「夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた」という一説があり、ソールの聖水とつながっている。
ブルックリンのファッションブランドMSCHFがAirMaxを160ドルで購入し、加工。買値は4000ドルまで吊り上がったそうだ。しかし、恐らく彼らが主張する聖水はブルックリンの水道水だろうし、チャームもその辺に転がっていたものだろう。そして、本当にイエスのように水の上を歩けるわけではない。何事もノリが大事なのだ。なんとも図々しいアイデアである。

2.Museum Hack

メトロポリタン美術館など博物館・美術館で独自の視点で展示作品を紹介するツアーイベントを企画運営している会社。
例えば「バチェラーパーティ」。見方を変えれば、美術館はエロの宝庫だ。ダビデ像だって一糸纏わぬ全裸であり、逞しいお尻も胸板も6パックも、あそこだって見放題。そんな空間で、エロ目線で男のお尻を眺めるというのは女子にとって美術館の新しい楽しみ方だ。内容は、6000年を超える「ケツの歴史」や「ローマ&ギリシアのセックスシーン」の解説、歴史上の淫らなゴシップのご紹介、そしてそれらを肴にワインで盛り上がる。
その他、女性のリーダーシップ養成、企業内チームの結束を固めるなど、企業向けツアーなどもあり、それら全てが由緒正しい美術館・博物館の展示物を使って行われる。なんとも図々しいアイデアである。

3.New York City Garbage

ずいぶん昔の話なのだが、NYCに落ちているゴミを集め、デザインされたキューブ型パッケージに詰め込み、50~100ドルで販売するアイデア。かなり売れたみたいだ。ただのゴミが、である。「同性結婚合法化」に沸いたNYCで生まれたゴミ、「ヤンキースの優勝パレード」のゴミ、「オバマ大統領就任演説(DC)」のゴミなど、スペシャルエディションまでつくった。この商売をデザインのチカラとして称える人は多いけど、個人的には実行に移す図々しさこそ称えたい。

ということで、今回は3つで終わります。また、機を見て、図々しい商売紹介はやっていきます。そして、自分でも図々しい商売アイデアを編み出したいです。

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