大好きなwikiを救いたい

仕事上で調べ物するのにwikiには大変お世話になっている。wikiというのは世界中の多くのエディターが無償で記事を書くことによって成立している人の善意の塊のようなサイトである。

中でも、ヴァージニア州在住のスティーブン・プルーイットさんは過去13年間に300万回の編集を行い、35,000記事を執筆、wikiの全英語コンテンツの3分の1に貢献している。

※因みに、定期的にエディターとして貢献している人は100,000人、その中で100万件以上の編集を行ったのは7人、200万回を超える編集者はプルーイットさんのみ。

このwikiへの貢献により、2017年にTIME誌の「インターネット上で最も影響力のある25人」に選ばれたこともあるプルーイットさんはwikiのために1日に少なくとも3時間を研究、執筆、編集に費やしているが、当然、報酬は受け取っていない。

また、彼が貢献したことは記事や編集数だけではない。wiki上の伝記記事のうち、女性が僅か15%しか取り上げられていないことを知ると、彼は影響力のある女性について何百もの記事を書くことでアンバランスの修正に努めた。その割合はここ数年で17.6%にまで上昇したのだ。

プルーイットさんはwikiに人生を捧げている尊い人物であり、彼のことを「King of wiki」とか「Father of wiki」と呼んでも差し支えないだろう。

 

自分のような人間は一切の労力を提供せずプルーイットさんのような人たちの日々の献身の賜物をタダで利用している分際だから、できるだけwiki運営への寄付要請には応えたいと思っているが、その要請は時に画面を覆うほどであり、送られてくるメールの文面の悲壮感に危うさを感じる。

この定期的な運営費不足を緩和するためには何か売り物を開発するしかない。そこで、商売のアイデアというほど大げさなものではないのだが、wikiの記事を売ることはできないかと考えてみた。ボランティアで書かれた記事を売るというのは書き手に失礼だと見る向きもあるが、wikiを存続するためでもあるし、よりよい記事がwikiにあることを知ってもらうことにもつながるので、売り方によっては書き手も納得するのではないか。

結構知られていることではあるがwikiは読み物としても尊く、読み始めたら止まらなくなるほど、名作の宝庫である。確かに嘘の記述や何かの宣伝に使われるなど気分の悪いこともあるが、それらを除けば人類の叡智が詰まっていると言っても言い過ぎではない。自分も友人に教えてもらって以来、折を見て読んでいるのだが、自分が心の中でひっそりとドヤ顔キメながら語る豆知識的な話の多くはwikiから仕入れたものだし、仕事上のアイデアを出す時にも大いに役立っている。

wikiにはプルーイットさんのようなすばらしい記事の書き手、編集者だけではなく、膨大な記事の中から鉱脈を探し、発見しては掘り進め、まとめてくれる方々がいる。自分は一切の労力をかけず、読むべき名作に簡単に辿り着くことが出来るので、その方たちにも感謝しなければならない。

例えば、自分の好きな所ではこんなまとめがある。

珍項目はほんとに好きなまとめで、つまらないものがない。全て読むことをオススメしたい。

一覧の一覧…ピンポイントではなく、ざっくりした所から掘り進んでいける。

おすすめ記事…時々物色するレベルだが。

「3大文学」として最初に教えて貰った記事。三毛別羆事件」「岡田更生館事件」「地方病(日本住血吸虫症)

 

これらはほんの一部で、上記のようにwiki上にまとめられているものもあれば、ブログやweb記事などでのまとめもある。掘れば宝はどんどん出てくるし、今こうしている間にも宝は世界中(250以上の言語)で生成されているのだ。

 

wiki読み物を楽しむ上で自分がいいなと思うのは、まとめなどで見つけた面白そうな記事を読み進めていきながら、リンクをあれこれ辿っていくと思わぬ出口に到達するというインターネットの醍醐味的なやつで、「iPhone請求書」の話から入って、最後にはなぜか「卵かけご飯」について読んでいた、みたいな感じだ。人によって、時期によって、気分によって興味の持ち方、感心の拡がり方は異なるので、無数の楽しみ方があり、この「流れ」を書籍で表現できないかと思う。

例えば、有識者が入口となる記事を選んだあと、自由にリンクを読み進め、その流れを紙上で再現する。有識者は、自分がたどった道筋を俯瞰して最後に感心の動きやまとめの文章を添える。このパターンを数名の有識者で実施し、一冊を構成する。読後に同じ入口から入って、どの出口に辿り着くのか、読者自身が試してみることも出来るだろう。

どこかの天才編集者がテーマ設定して、wikiから該当する記事を抽出して…みたいなオーソドックスな編集方法もよいのだが、インターネット感、知の森を彷徨う感が多少なりとも出る形の方が、よいシリーズ本になるのではないか。

自分もささやかなwikiファンとして、他の人が一つの記事を読んでどう感じて、どの方向に感心を発展させていくのか知りたいです。「広告は中立を保てなくなるのでしない」方針のwikiだけど、これなら検討の余地がある気がする。どなたか敏腕編集者がwikiと交渉して形にしていただけると嬉しい限りです。

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