正月休みが終わった。毎度のことながら光速で去って行った。
休み前は、この期間を無駄にしないで、あの本とこの本を読み、あの映画を見て、2020年の計画を立てよう、そして、新年のブログの方針を考えて…などと思い描いていたが、結局、半分も実現せずに自堕落な時間を過ごしてしまった。努力と才能の物語が溢れているSNSを見ると「こんな自分ではヤバい」と思う反面、「堕落した生活こそ生きている醍醐味」、みたいな思想が元来、自分の中にあって、怠惰な自分を肯定してしまうこともある。
実際、油物とラーメンばっかり食べて無制限に太り、ギャンブルで破滅し、嫁・子供に愛想をつかされ、唯一引き取った大型犬と一緒にワンルームで暮らす友人のことや、20年間ほぼ毎朝、朝刊を持って自宅から自転車で数分の女の家に通い、午前中を一緒に過ごし続けた末に、82才の年上女房にばれて、離婚した近所のじいさんを心から尊敬している。
会社の金106億円をカジノで溶かした大王製紙の井川元会長は神のような存在である。
よって、保険に入ったり、スポーツクラブに通ったり、太ることを気にして飲みたいビールを我慢したり、老後のことを考えたりする自分が少々ダサいと考えてしまうことがある(そんなこと言いながら結局、保険に入り、禁断のスポーツクラブに行き、退職金積立しているのだが)。
勿論、イチローさんや本田宗一郎さんのような自分を律し、日々研鑽を積んだ方々は非常に尊敬しているのだが、あまりにも現実離れしすぎていてピンと来ない。凡人中の凡人である私にとってはどちらも神々しいのだが、果てしない上より、果てしない下である「破滅的人生」に憧れてしまうのだ。
こういった感覚を抱くのは自分だけなのかと思っていたが、友人に話してみると意外とそうでないことが分かった。同じようにストロングゼロでアルコール依存症になって人生を狂わせた人を格好よく感じる時があるとのことだった。癌を公表する記者会見で医者に禁じられているタバコをぷかぷか吸い出した勝新太郎も忘れられないと言っていた。一方で、「しくじり先生」のように過去はクズ人生を歩んでいた人間が現在は真っ当な人生を歩み、その過去から学ぶという美談には心惹かれない、また、「血液クレンジング最高」と呟くとか、「アニメ映画のレビュー漫画を複数の漫画家に依頼し、決まった時間に同時投稿させる」とか、そんな種類のクズではないと強調していた。あくまでも、現在進行形で破滅的道を歩む、刹那的、享楽的で、退廃的な「クズ」を愛しているのだ。
愛すべきクズの日常を売る商売
そんな破滅的な道を歩む彼らに憧れてはいるが、自分も含め、同じ道を歩む勇気はない。自分が歩めない道、遠く離れた世界だからこそ、彼らと共に過ごす時間には価値があるのだ。
アル中で人生を狂わした奴と酒を飲み、その悲哀を学ぶ。暴飲暴食で身体をいわした奴の炭水化物と油にまみれた食生活を体験する。ギャンブルで全財産すった男とオールナイトで賭けに興じる。例えば、大王製紙の井川元会長とカジノに行くなんて最高だろう。
これが「ずっと」だと、誰も望まないが「ほんのひと時」なら、興味深い体験となるはずだ。
そして、私の周りには幸運にも約3人ほど「愛すべきクズ」がいる。後数名+できれば大物1-2名を口説くことができれば、「愛すべきクズ」との時間を売るビジネスがスタートできる。私はマネージャーとなって、彼らがこれからも自らの道を歩めるよう、彼らと時間を共にしたい人から料金を受け取り、彼らと山分けする。
その他、クズ生活を取材した「クズ本」やクズと語れる「クズ・バー」、世界中のクズ支援者の紐になってクズ生活を維持するためのクラウドファンディングや差し入れ企画、「クズ・グッズ」などのクズビジネスも考えられる。日本のクズ界から愛すべきインフルエンサーが誕生する時代が来るかもしれない。クズだけにばっくれそうだけど、それもクズの良さではあり、諦めがつくだろう。
まずは、より多くの人に話を伺って、需要の程度を確かめたい。そして、「愛すべきクズ」を探す旅に出る。儲かるかどうかは別として楽しそうな商売になりそうな予感はする。
まだまだ思いつきのネタですが、万が一、興味あるという方や、アドバイスしてやってもいいぞ、という方がいらっしゃいましたら、twitterやfacebookにコメントをお願いします。
遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。